「運動」の先生 杉山 貴規

from 杉山 貴規 御殿場の時之栖サッカーグラウンド

コロナが一般化して、本当に生活の中に普通にコロナが存在する今日
スポーツ界もコロナ前の状態に戻ってきました。

自分は、サッカーのトレーナー、クリニックで理学療法士としてリハビリを行なっています。

なので、いつも怪我とはいつも向き合っているんですが、
withコロナになっても、スポーツにつきもの、怪我は以前の状態よりも多くなり、そして少し厄介になってきているような気がするんです。

それは、怪我の治りが以前よりも遅くなっているということなんですよね。

なんでそんなことになっているのか?

それは、コロナによって運動量の低下、運動の中止が余儀なくなるという状況が生まれるということなんです。

コロナが発生すると、その周囲の人間も濃厚接触ということになり、リハビリが中止になったり、運動の中止など活動範囲が制限されるから、
コロナ前の積極的なリハビリや運動を支持することが難しくなるからなんです。

実際、クリニックでリハビリしていた患者さんでコロナ陽性になり、リハビリが3週間以上中止になったケースや濃厚接触者になり1週間ほど中止になったケースもあるんです。

そうなると、怪我をしていた部分の組織が再び脆弱になって、振り出しに戻ったり、競技復帰間近だった体だったのがもう一度作り直す状態になったりと、
とにかく、遅れに遅れるケースが本当に多くなった感じがします。

そんな、withコロナの時代には、コロナも考慮したリハビリプログラムっていうもの頭に入れて怪我に向き合うことが重要なんだなと思い知らされている日々なんですが、、、

さてさて、
前置きがかなり長くなりましたが、
今回からシリーズになるかわかりませんが、子供のスポーツ障害に関して、スポーツやっている子供からそれに着き添う親御さんに

  • 今のその怪我が一体なんなのか?
  • 怪我をしたらどうしたらいいのか?
  • 怪我をした時のケア方法
  • 怪我をしないための予防

などに関して
お伝えできればと思います。

その第1弾として『捻挫』に関してお伝えします。

足首の捻挫は誰もが経験したり、見たり、聞いたりしたことのある怪我の一つですよね。

捻挫というワードは本当にメジャーな言葉で、捻挫で活動を休むとかいうと、周囲からはこんな風に思われちゃいますよね。

  • なんで捻挫で休むの?
  • 大した怪我じゃないじゃん!
  • すぐに復帰できる怪我だよな

などと
かなり軽視されている怪我の一つだと思うんです。

怪我をした側も

  • すぐに復帰できる怪我でよかった、、、
  • 痛いけど我慢すれば大丈夫
  • テーピングすれば大丈夫

などと
安易に考えていることが多い怪我

つまり、怪我した側はもちろん、当事者ではない人間(親・コーチ・先生・友達・チームメイトなど)すら、大した問題じゃないと思っている怪我なんですよね。

しかし、この怪我、安易に考えていると治りが遅くなるケースが多くあるんです。

そうなってくると、怪我をした本人やその親御さんは、焦ってきちゃうんですよね。

『ただの捻挫なのになんでこんなに時間がかかるのか?』

でも、周りの人間の評価は変わらずで、「捻挫で随分休んでいるな?」「本当に怪我なのか?」など変な勘ぐりまでおこることもしばしば。

では、この捻挫をどのように考えればいいのか?

今回は、捻挫のその概念からその治し方までお伝えできればいいかと思います。

足の捻挫を甘く見るな!

捻挫って考えるからまずよくないんですね。

これが、靭帯損傷・神経損傷・筋損傷などと言われたらあなたはどういう認識になるでしょうか?

きっと、捻挫よりも重い怪我だと思うに違いありませんよね。

なんでこんな例えを出したのかというと、
捻挫を広辞苑で引くと
『関節をねじり、くじくこと』(広辞苑より)
まさに、捻挫そのまんまの解釈ですよね。

でも、これを医療用語でみるとどうなるのか?

『捻挫とはX線でうつらない部分のケガ』(日本整形外科学会より)
となるんですね。

これってつまりどういうことか?

X線でわかる怪我は骨折・脱臼ということ。

それが映らないということは、それ以外全ての怪我を指すものなんです。

それ以外とは何か?

  • 靭帯
  • 軟骨
  • 筋肉
  • 筋膜
  • 骨膜
  • 半月板
  • 血管
  • 神経
  • 皮膚

などなど
とにかく、多岐に渡る組織を指す疾患なんです。

つまり、専門機関でレントゲンとって、
『捻挫ですね』
と言われた場合は

骨折や脱臼じゃないよ。

って言われているだけなんです。

そう考えると、

  • どこの組織を痛めているのか?
  • うちの子供はなんの怪我なのか?

ということになりますよね。

だから、この『捻挫』という言葉、すごいアバウトな言葉なんです。

今、足首の痛みで苦しんでいる、
あなたのお子さんはどこの組織を痛めているんでしょうか?

これは、専門機関の先生に必ず確認したほうがいいと思いますよ。

怪我をした組織によって治りの期間は違う

足関節捻挫と言われた場合
考えられる疾患はいくつか存在します。

  • アキレス腱炎
  • アキレス腱滑液包炎
  • 足関節外側靭帯損傷
  • 二分靭帯損傷
  • 足根洞症候群
  • 三角骨症候群
  • 腓骨筋腱脱臼

などがあるんです。

まだこの他にもたくさんあります。

さらに、組織によっても治る期間が違うんです。

以下はあくまでも、一つの基準ですが載せておきます。

このように、捻挫といってもどこの組織が損傷しているかで、疾患名が変わってきますし、治る時期も変わってくるんです。

さらにさらにです。

リハビリをやる立場になれば、部位によってリハビリの内容や家族や怪我をした本人に対してのリスク管理の面でも指示が大きく変わってくるので、一概に捻挫という言葉はあまりよろしくない表現なんですよね。

一つ一つの上記であげた疾患を網羅することも必要なのですが、

今回はその中でも一番多い、足関節の靭帯損傷に関して紹介したいと思います。

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この記事を書いた人

理学療法士

すぎやま たかのり

杉山 貴規