発達障害の専門家 新井 清義

「発達障害」という用語は
近年になりよく知られるようになりましたが、
具体的にどんな状態を指すのかについては、
世の中で理解されているとは言い難いのが現状です。

まずは「発達障害とはどんな状態を指すのか」について解説していきます。

発達障害は、
子どもが発達していく過程のどこかに
問題が生じてくることを指します。

さらに、認知(理解、行動の過程)に問題があり、
生活・学習上に問題を生じている状態といえます。

発達障害は、
健常な発達段階の重要な要素が遅れて、
アンバランスに発達していく、
認知の障害と言い換えることもできます。

我が国で使われている「発達障害」は
国際的にはてんかんや脳性麻痺、
知的障害など器質的な神経疾患について使われていました。

そののち、国際的な「発達障害」という用語が拡張され、
「軽度発達障害」という言い方で、
現在使われている「発達障害」にかわりました。

我が国独特の使い方でしたが、国際的にも同様の動きがあり、
アメリカ精神医学協会のDSM-5(精神障害の統計・診断マニュアル)では、
「神経発達障害」とされるようになりました。

子どもだけではなく、
最近では「大人の発達障害」も
マスコミで取り上げられることが多くなりました。

あまり好ましくない傾向ですが、
社会で起こっていることすべてを発達障害で説明しようとする動きもあり、
女性の悩みや職場、夫婦関係の悩みについても、
関係するキーワードとして使われるようになっている向きがあります。

発達障害という言葉がよく知られるようになり、
少しでもコミュニケーションの苦手さや変わった行動を取る人を見ると、

「あの人は発達障害だよ。」

というように軽々しく言われることがあります。

しかしながら、ある種の特性や傾向があったとしても、
社会の中でうまく適応し、
生活面で問題が生じなければ、
発達障害があると見なされることはありません。

この文章には続きがあります。
続きを見るには会員登録(1ヶ月無料)が必要です。
すでに会員の方はログインしてください。

この記事を書いた人

発達障害の専門家

あらい すみよし

新井 清義